脳と語学

語学学習に限らず、自分の勉強で脳が生理学的にどのように変化しているのか気にする人はあまりいないでしょう。しかし学習や記憶の本質を探る上で、少しは脳の仕組みについても学んでおきたいものです。人間の言語理解は脳内でどのように成立しているのでしょうか。
 言語活動に直接的に関わっているのは、頭部に収められた脳です。特に大脳の一部が活発に機能しています。母語である日本語を操る時や、日本語が耳に入る時も、脳は休まずに働き続けています。言語活動はまず刺激が入力されて、大脳が機能し始めることが起点となります。言語中枢は大きく2つに分かれており、一つはヴェルニッケ中枢で、刺激として入力された情報を理解します。他人の発話を理解できるのは、この中枢の働きによるものです。もう一つはブローカ中枢で、能動的に言葉を操作します。発話時、喉も唇も舌も使いますが、これらの動きは全てブローカ中枢が操作しているのです。なお、2つの中枢は別個に機能しているのではなく、そこには相互作用を認めることが出来ます。
 このように説明しても分かり辛いでしょうから、例を挙げましょう。紙に書かれた文字を見たとします。メッセージは刺激という形でヴェルニッケ中枢に達し、そこで理解という働きが生じます。すると即座に音声化するという意思が強くなり、ブローカ中枢が機能して発話行為に至ります。実際に声が発せられると、その声は耳から刺激として入力され、再びヴェルニッケ中枢が機能することになります。