日本人の英語力

日本人の英語力が海外と比べてどれほど劣っているのかは、英語能力試験のスコアを比較すれば一目瞭然です。TOEFLと呼ばれる英語能力試験が知られていますが、この試験のスコアは、比較的正確に個々人の英語力を反映します。日本人の平均スコアは500点前後と言われていますから、アジアでは最下位から数えて4番目に位置します。先進国として恥ずかしい順位であることは間違いなく、国を挙げて奮起しなければならないところですが、残念ながらそのような機運が高まる兆しもありません。スコアだけではなく、伸び率も一向に高まっておらず、将来が危ぶまれる状況にあります。何故これほどまでに英語力が身に付かないのでしょうか。日本は英語教材に恵まれた国の一つで、巷には英会話学校も沢山存在しています。また中学、高校を通して6年間は皆英語を学んでおり、勉強する機会はいくらでもあるはずです。さらに受験勉強においても、英語は重要科目として重きが置かれています。それにもかかわらず、ほとんどの日本人はまともに会話することすら覚束ないのです。
 学習機会がある中でそれを有効に活かすことが出来ていないわけですから、この状態を放置し続ければ、事態は改善に向かわないでしょう。では何を変えればよいのでしょうか。英語は書き言葉でもあり、また話し言葉でもあります。従って、この2つの視座で教育計画を立てればよいのですが、残念ながら日本の高校では書き言葉、すなわち英文読解、文法の学習に軸足を置いています。英文を読むこと、文法を覚えることも重要なのですが、本来は並行して音声に慣れるための訓練を施さなければなりません。日本の英語教育法は、少なくとも高校では偏っていると言えるのです。
 語学学習において音声が重要である理由は単純です。比較行動学の研究によれば、動物はそれぞれ独自の言語形態を有しています。ダンスで意思疎通を図るものもあれば、鳴き声で伝える動物もあります。ただ共通している点は、視覚の働きが大きいということです。人間は動物とは異なり、視覚以外の感覚器も大きなウェイトを占めています。ですから耳や口を使わなければ、言語の習得力が半減してしまうのです。